最初に伝えたいこと
・昇進=万能な成長ではありません。
・それぞれの立場には「合う・合わない」が確実にあります。
・この記事では、実体験をもとに「昇進と人材配置の難しさ」について語ります。
こんなとき、ありませんか?
「あの人、前は輝いてたのに、昇進してから何か違う」
「自分にも昇進のチャンスが来たけど、不安しかない」
「うちの部下は優秀。でもどこまで任せていいのか…」
そんな“昇進によるギャップ”に悩んだことはありませんか?
実はこれ、「よくあること」なんです。だけど、ちゃんと見極めないと潰れてしまう人もいる。
今回は、そんな実話と気づきを共有させてください。
私の経験を基にご説明します
私はもともと、いわゆる「一般職」──いち現場作業者からのし上がってきた人間です。
もともと器用でもなければ、人当たりがいいわけでもない。
でも、現場で数字を出し、必要な場面で声を出し、時には上司に噛みつきながら、自分の存在感を作ってきました。
気づけば上の人に「こいつ面白いな」と思われて、いつの間にか役職がついていました。
いまでは課長職として、数百人規模のマネジメントを任されています。
……で、今日はそんな「自分語り」ではなく、とある部下の話をしたいと思います。
なぜなら、その出来事は「人材育成」と「昇進選定」の難しさを身に染みて教えてくれたからです。
“完璧な部下”が、ある日を境に輝かなくなった
その彼は、とても優秀な男でした。
仕事は早いし、ミスは少ない。
仲間からの信頼も厚く、後輩からも相談されるような“現場の兄貴分”でした。
私も彼のことは非常に信頼していて、何か困ったことがあればすぐ彼に相談していました。
プライベートでも何度か飲みに行ったことがあり、「ああ、こいつはいつかリーダーになる男だな」と思っていたのです。
そして、タイミングが来た。
私は上司に強く推薦し、彼を係長に昇進させてもらうよう動きました。
会社としても異論はなく、スムーズに承認が下り、晴れて彼は昇格しました。
しかし──その日を境に、彼の輝きは少しずつ、確実に失われていったのです。
立場が変わった瞬間、すべてが変わった
昇進前、彼は「現場の中心」にいました。
自分で手を動かし、メンバーと同じ場所に立ち、冗談を言いながらも的確な指示を出していた。
とにかく、現場の中で“生きている”人だったんです。
しかし係長になると、話は違ってきます。
現場から少し距離を取り、全体を見て“調整する”ポジションに回る必要がある。
数字を管理し、上からの要求に応え、時には人を動かすために「言葉で説明する力」も求められる。
彼は、それが苦手でした。
自分で手を動かして判断するタイプだったため、「見ているだけ」「言うだけ」の役割に違和感を持ち、徐々にチームと距離が生まれてしまったのです。
周りも戸惑っていました。
「あの○○さんが、なんだか元気がない」
「最近、話しかけにくくなった」
本人も、“自分の得意なことが封じられた感覚”だったのだと思います。
そして昇進から約1年後、彼は退職しました。
理由は聞いていません。聞けませんでした。
でも、すべては「ミスマッチ」だったと私は思っています。
人には“向いてるステージ”がある
この経験から学んだのは、昇進がすべての人にとっての幸せではないということ。
そして、立場によって求められるスキル・視点が全く違うということです。
・現場にいて輝く人
・チームの真ん中で輝く人
・少し後ろから全体を見て輝く人
・数字で戦える人、感覚で導ける人
・少数のプロ集団を率いるのが得意な人、大多数を統率するのが得意な人
…本当に、“リーダーシップ”の形はひとつじゃない。
だからこそ、「この人が今優秀だから、上の役職が合う」とは限らないのです。
部下の昇進を考えるときは、「次のステージに必要なスキル」がその人に備わっているか?
それをちゃんと見極めなければ、潰すために昇進させてしまうことになりかねない。
そして、自分にも問う
私はいま、課長職。
それなりに苦労もあるけど、ようやくこのポジションで「自分らしさ」を出せるようになってきました。
でも、これがゴールじゃない。
次に見えているのは、「部長職」。
さらに組織全体を見て、事業計画や全社目線での判断が求められるステージです。
では、そのステージに上がるために、私はどんなスキルを“今”身につけなければならないのか?
それを意識せずに“今の仕事”だけをこなしていては、きっとそのチャンスは来ない。
最後に伝えたいひと言
今の立場目線ではなく、ひとつ、ふたつ上の立場目線を持って考え、動く。
それが、次への一歩になる。
あなたの話、聞かせてください
「昇進させたけど失敗したことがある」「上の立場を目指すには何が必要?」
そんな経験や悩み、ぜひコメントやDMで教えてください。
同じ“中間管理職”同士、分かち合えるものがきっとあるはずです。
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